稲フィル☆つうしんVol.1 

                                                          平成18年5月7日発行

      ハジメマシテの方にもオナジミの方にも…

      「パルテノン多摩大ホール」での初・演奏記念に、「稲フィル☆つうしん」発信です

      団員たちの心づくしの言葉をお届けいたします。\(^□^)/

〔はじめに〜第14回演奏会プログラムについて…〕

   本日は、私たち「稲フィル」こと、「稲城フィルハーモニー管弦楽団」の演奏会におこしいただき、

誠にありがとうございます。

   さて、今回のプログラムの1つ「真夏の夜の夢」の終曲であり、劇中でもラストを飾る 「フィナーレ」

について。

   本来この曲は合唱、ソロなど歌と共に奏でられるものです。しかし、本演奏会にあたって、我らが

たのもしきマエストロ・松田拓之先生が、オーケストラのみでの演奏のために自ら編曲してくださり、

真のラストである「フィナーレ」を演奏できる運びとなりました。今日、この場所でしか聴くことのでき

ない「真夏の夜の夢・フィナーレ」を、松田先生と私たちがお届けいたします。

 音楽を奏でる時間もまた、ひと時の夢にすぎないのかもしれません。けれど、私たちはその一瞬

の美しい幻を見たくて、ここまで練習を重ねてきたといえるでしょう。

   はかない一夜の夢を終焉までごゆるりとお楽しみくださいませ…

〔団員のつぶやき・特別編〜オーケストラへの思い・ブラームスへの思い〜〕

☆「あふれるキス」


楽器を弾く瞬間・・

それは、指が、唇が、楽器に触れる瞬間。

ある音楽家が、「キスとおなじだよ」 と教えてくれた。

そこまでの思いと、それからの夢・・

ある人は生まれたての赤ちゃんのほっぺに、

ある人は不精ひげのおとうさんに・・

永遠の愛のような、神聖な気持ち。


私のスコアには、だから、キスマークがいっぱい。

私からあなたへ、

あなたからわたしへ・・

あちこちにキスが飛び交う。

音の宝石箱。

あふれ出る感性。


ブラームスは特に激しく、ゆるぎなく、濃厚。

シンフォニー1番は、感極まった、その頂点からはじまる。

こんな音楽は、まさに奇跡!


・・最大のプレゼントをあなたに・・

                                                         (パーカッション: A・W)



☆ 「ブラームスの意図したもの」


  私にとって、オーケストラで曲を演奏することの楽しみの1つに、その曲に関して新鮮な発見が得ら

れることがあります。それはまず、曲中の意外な要素の発見です。大抵の場合に自然と聞こえる主旋

律以外にも、曲を構成する要素は様々なものがあります。合奏中にふと、例えば、それまで気づかな

かった、主旋律の傍らで続くヴィオラの刻みが聞き取れるようになると、新鮮な驚きとともに、そのパー

トがあることでその曲がいっそう深く感じられるのです。そしてまた、指揮・トレーナーの先生方やオケの

メンバーから発見を受けることも多くあります。このような表現をした方がより良いと気づかされることが多

く、非常に勉強になっています。

  稲フィルの今回の演奏曲目の1つである、ブラームスの交響曲第1番。ブラームスが初めて交響曲を

作曲しようと思い立ってから、この約40分の交響曲を完成するまでには24年もの歳月を要したと伝えら

れています。この間、幾度も試行錯誤が繰り返され、推敲が重ねられたことが想像されます。一方、この

曲を演奏するには、ブラームスが熟考の末に記した楽譜からブラームスの意図を読み取らねばなりませ

ん。楽譜は、確かに、音符や休符などの記号の配列に過ぎません。しかしその記号の1つ1つは、ブラー

ムスが意図をもって配列していて、意味のないものは1つもない、ということを、この曲を約半年に渡って

練習することによって感じてきました。そのようなブラームスの意図を、曲の練習を通して発見できること

は、オーケストラでの演奏の楽しみだと思っています。現時点でブラームスが楽譜に込めた意図がどれ

くらい表現できているのか分かりません。しかし、演奏会でどのような演奏ができるのか、私自身楽しみに

しています。                      
  
                                                             (チェロ: H・O)