稲フィル☆つうしんVol.10 |
平成23年6月5日発行
「アマチュアオケで料理する」
最近イタリア料理を作るのに凝っている。ついでにそれに合うワインを考えるのも楽しみ。
指揮者をシェフと呼ぶように、音楽と料理には共通点があると思う。料理のシェフが肉、
魚、スパイス、塩など食材の個性を生かしながらトータルで素材の集合した調和を引き出す
ように、良い演奏にも良い食材と良いシェフが必須だ。
とすると、食材である我々はプロの奏者とどこが違うか。私が思うに、まず一番違うのは
音の立ち上がりだと思う。発音の最初のところ、刺身でいえば切り口、の角が立っていなけ
ればならないのが、包丁の切れ味が悪いと崩れたりギザギザしたりしてしまう。むろん刷毛
で掃いたようにかすれたニュアンスが要求される場合もあるのだが、まずはくっきりと立ち
上がる音が出ないとアンサンブルもうまくいかない。名手はそういう我々の苦労など超越し
て、自在に発音を使い分ける。アマチュアは刺身を避け、煮込み料理をやった方がよいのか
も知れない。
私はクラリネットを吹くが、理想は白ワインのような音だと思っている。清らかで透明だ
が、ミネラルウオーターではなく、有機酸やミネラルの含まれた香り高いシャルドネの音を
目指して・・・。長くN響の首席を務められた浜中浩一さんはこういうタイプで最高の音だっ
たと思う。ベルリンのライスターはもうすこし甘口でボディのある音だ。
さて、今回の演奏会のプログラムを料理にたとえると、(1)ワーグナーの「マイスター
ジンガー」前奏曲は、前菜といってもポテトとソーセージの盛り合わせサラダ、相当にコクが
ある。そこで、(2)お口直しにフォーレの「ドリー」を挟む。これは平目の薄切りミルフィユ
仕立て香草入りソース、軽いが少し苦みのあるハーモニーとスペイン風リズムのスパイスが隠
されていて、さらりといただける。メインディッシュの(3)ベートーヴェンの第7番交響曲は、
牛肉赤ワイン煮込みサワークリーム添え。リズミックな躍動感溢れる第1楽章、しみじみとした
歩みの第2楽章、長くてきつい第3楽章、力感溢れもっときつい第4楽章、と、メインに相応しい
ボリュームをもち、必ずやご満足いただけるものと信じている。デザートはお楽しみ。
(cl:Y・O)
「そういえば、バイオリンあったよなぁ・・・」
6年前、駅前某音楽教室。私は子供のピアノレッスンの付き添い、隣の部屋のバイオリンレッ
スンを窓越しに見ていた。
無性にやりたくなり実家の押入れからそっと取り出したバイオリンケース。おそるおそる開け
ると、弦は全て切れて駒は倒れ、みるも無残な姿に・・・。泣いている楽器を見て心が決まり、子
供のピアノレッスンの時間にバイオリンレッスンを始めたのが再スタートだった。
20年ぶりのバイオリン。あまりの弾けなさに絶句し、せめて子供の頃弾けた位にはなりたい!
とやってるうちにどんどんハマってしまった。子供の頃はイヤイヤだったのに・・・人生ってわから
ない。
5年前に地元オケに入団。地元オケは年配の方も多い温かい癒しムードのオケで、弾けない私も
快く迎えてもらえた。もし地元オケが気難しく意地悪だったら、私のバイオリンライフはここで
終了だったかもしれない。
何年か経つうちに、最初は全くついていけなかったオケ曲も徐々に弾けるようになってきて、
もう楽しくってますますのめりこんでいった。大人でも努力すれば何とかなるもんだなぁと思っ
た。
「もっと弾きたい」欲求が強くなって、こんな遠くの稲フィルまで来てしまった私・・・アマオケ
かけもち歴1年になる。
地元オケのゆったり系にどっぷりつかっていたので、稲フィルは入団当初ものすごく熱心なオ
ケに感じ、いつまで続けられるだろうか・・・と実は不安だった。
でも1年経った今、その2つのオケのカラーの違いがなんとも心地良く、稲フィル−土曜夜、
地元オケ−日曜朝の連チャンの練習は、若くない身体にはこたえるけど、楽しくて仕方がないの
です!
皆様のお宅の押入れにも、もしかして楽器・・・眠ってませんか? ぜひ思い出してあげて稲フィ
ルで一緒にやりませんか♪
(vn:J・H)