稲フィル☆つうしんVol.12 

                              平成24年6月17日発行


私がフルートを始めたのは15才。

当時の私はNHKのN響アワーを見て『やってみたいな〜』とポケ〜っと思っていた。

地元のお教室に通い始め、初めてのレッスンで先生に『オケやりたい!』と言ってしまった。

さすがに先生からは『まだダメ!』となり(そりゃそうですが…)、私は今までにこんなに

夢中になった事があったのか!?って思う位のめり込み、フルートの練習を頑張りそのまま突

っ走ってしまった…それから数年オケの事を忘れ吹奏楽にどっぷりハマってしまった。

そんな私がオケに入ったのは22才 (確か…)の頃。『そう言えば昔オケやりたかったんだよ

な〜』と思い出し稲フィルの見学へ。地元にオケがあるなんて楽チン、サイコーって簡単に

思い…(オケの皆様ゴメンナサイ…)

その日の練習は10名位しか団員がいなく(いつもそんな感じとも聞く・・・)、その内フルート

は3人。フルートの人がオーボエパートを吹いてしまい、吹奏楽ではいつも大人数で合奏して

いた私はとても驚き、『だっ、大丈夫なの??』と不安な気持ちのまま合奏が始まった。合奏

とは言えない気もしたが、私は『んっ!? 何だ!? こりゃ楽しいぞっ!!』(うまく伝えら

れずスミマセン)と今までの吹奏楽とは違う楽しさを発見した。

私はすぐ入団し、それから団員も少しずつ増え、様々な先生たちの指導を受けられるようにな

り、稲フィルもオケらしくなって来た。

気が付くと私は管楽器パートで一番古いメンバーとなっていた。

途中仕事が忙しくお休みした事もあったが、これまで続けてこれたのは、稲フィルの素敵な仲

間に恵まれたからだ!

今のフルートパートは3人。一緒の楽器メーカーを使ってるからか(たぶんあちらの方が高級な

楽器)音色や音程が合い、なんでも吹きこなしてしまうアニキ、パート内をまとめてくれて、

隣で聴いていてつい聴き惚れてしまう位ステキなソロを吹くお姉さま☆(その為時々自分の吹

く所を入りそびれてしまう・・・)

お2人には本当にお世話になりっぱなしで・・・いつもありがとうございます。

でも最近気づいた。というかほかの団員さんに言われたのだが、『オケに青春を捧げて来たね!』

と。そうだ!そうでした! オケも良いがプライベートをもっと充実させないといけないって事

を忘れていました…。

オケの皆さん! 私、これからは時々お休みもらって良いですか?

もちろんオケは大事です!でもでもプライベートを充実させてこそオケももっと頑張れる!って!!

さっ、本番頑張ります! フルートのトップ2人の演奏、今日も素敵ですよ〜☆

                                      (fl:T・M)


楽器との出会い


楽器や音楽との出会いには人其々のドラマがあると思う。

楽器が奏者の性格に影響を与えるのか、それとも元々その楽器に相応しい性格なのか、私にはわか

らないが、ともかく楽器と奏者は似た者同士のような気がする。

私がファゴットと出会ったのは高校生1年の春。高校に入ったら弓道部に入ろうと友達と話しなが

ら廊下を歩いている時、友達が吹奏楽の勧誘に捉まった。迂闊な奴め、なんて思いながら仕方なし

にそばで待っていると、もう一人の先輩が僕にも声を掛けてきた。

「君、ファゴット吹いてる先輩に顔が似てるね。ファゴットやらない?」

勧誘が雑!しかも見たことも聞いたこともない楽器をやれと言われ、「はい」なんて言うわけがな

い。

突っ込みどころ満載の勧誘に唖然としているところへ顧問の先生が通り掛かった。と勧誘してきた

先輩が突然顧問の先生に「この人ファゴットやります!」と言い放った。先生から威嚇交じりに

「ファゴットをやるのか!」と言われ、入学ほやほやの1年生である僕は、ついなすすべもなく

「はい」と返事をしてしまった。仕方がない、今日一日見学するくらいならいいか、くらいの気持

ちで顧問の先生に連れられ、音楽室に入って行った。この時点でファゴットの知識ゼロである僕は、

正直、ファゴットがどんな楽器かまったくわからず、カッコ良いいのかな?なんてちょっと期待し

ていた。

先生は何やら高級そうなケースを取り出し、中を見せてくれた。

「これがファゴットだ」…バラバラである。しかも4つ(本当は5つ)に分解され原型がわからない。

(んっ?これどうなんだカッコいいのか?)とりあえずリードだけ渡され別の教室に移動。そこに

はすでにフルートの1年生がマウスピースだけで練習していた。「おぉ、楽器の音がする。ところで

これは…」手に持っていたリードの吹き方を教えてもらい取りあえず吹いてみる。「ぴー」…あれ?

安っぽいおもちゃみたいな音がする。正直恥ずかしい。なんなんだファゴットって?

練習を終え、帰りのミーティングに出ると新入生と先輩たちが向き合う形で並んでいた。

諸連絡が告げられ、終わり間際に顧問の先生が新入生に「明日までに入部届けを出せない人」と訊い

てきた。とりあえずクラブ見学ということでミーティングに参加していた僕は、入部する気など全く

なく早速手を挙げた。するとさらに顧問の先生は僕に「いつなら出せる?」と聞いてきた。

先輩たちの視線が集中する…しまった!罠だったか…。

意味もなく「…明後日までには」と返事するのが精一杯でした。半ば強引に入部が決まってしまい、

結局ファゴットが何なのか音も形も分からないまま、やることだけが決まってしまった。

超初心者から始めた僕は、翌日にやっと楽器の名前を覚え、以来25年の付き合いになります。

どさくさにまぎれて始めた楽器でしたが、不思議とやめようとは思わず、気づけばこの楽器の魅力

に取りつかれ、いつの間にかなくてはならない存在に。

またこの楽器が私に与えた影響も性格だけでなく、大学の親友や音楽を通じて出会った仲間、妻や

家族など、私の周りの環境までもファゴットなくしては成り立たないのである。

またこれからも大いに仲間たちと音楽を楽しみながら過ごしていきたいと思う。
                                      (fg:T・A)