稲フィル☆つうしんVol.3 |
平成19年6月3日発行
☆「嫉妬に狂ったことのない人たち」
稲フィルの仲間は、みな音楽を愛し、合奏を楽しみとして週に1度集まり、
半年に一度の定期演奏会へ向けて曲づくりをしています。
年齢はさまざま、技量もいろいろ、でもみんな熱い気持ちを持って取り組
んでいます。何より「みんな暖かい人たち」なのです。小生は、丁度1年前
に仲間に加えてもらったばかりなのですが、すっかり溶け込んでいます。こ
んな稲フィルが奏でるシューマン「ライン」の開放的で暖かい響きを皆様の
耳にお届けできれば、幸せです。
ビゼー「アルルの女」では、嫉妬に狂ったことのない人たち(稲フィルの
方々のことですよ)が、そういう思いを音にしてゆくのは簡単ではありませ
ん。どうして?とみんな収斂してくれない音色に「あせりといらだち」が見
え隠れするのです。練習時間も自ずと「アルルの女」の方が長くなっていき
ます。また、アルルの女」が名曲として世界中の人々に親しまれているのが、
そういう思いに拍車をかけます。
さて、みんなの気持ちがひとつになって、「はつらつとしたリズムに乗っ
て歌われる叙情的なメロディ」を美しく奏でることが出来るでしょうか?
ご期待ください。
(チェロ:K・H)
☆「流れをつくるもの〜川のように」
多摩丘陵の近くにいて、季節の移り変わりを見るのが好きです。裸木の梢
が凛々しい姿の冬、芽吹きに和らぐ早春。光り輝く新緑はやがてたくましい
緑へと変わっていきます。ゆったりと着実に時が流れていくのを実感します。
そんな自然に囲まれて、稲フィルもまた様々な表情を見せながら成長し、時
を刻んできたのだと感じます。
オケの経験、知識、技術もない私が設立時の稲フィルに入団、これまで続
けてこれたのは「とにかく一緒にがんばろうよ」の雰囲気の中で、技術面で
も気持ちの面でも支えてくれた人たちのお蔭です。これはその後もずっと変
わらぬ稲フィルの姿勢です。オケとしての練習が成立しないほど団員数の少
ない時期も続きました。全力で運営に力を注いでくれる人、それを見て自分
も何かしなくてはと思わせる関係が常にあったからこそ存続してこれたのだ
と思います。軋みや不協和音が響いたときは、稲フィルの“情熱と冷静”が
解決してくれました。
稲フィルにとって何より幸運だったことは、音楽を愛する一流の指導陣に
恵まれ、心血を注いでもらえたことでしょう。音楽に向き合う姿勢の大切さ、
楽しさの質の違いを知ることができました。そんな稲フィルに私がいて嬉し
いと思うのは、いつも前向きの心でいられることです。
この原稿を書きながら時々スメタナの「モルダウ」を口ずさんでいる自分
に気がつきました。一滴の水が小さな流れをつくり、やがて大きな流れとな
って……。稲フィルにはそんな川のイメージが重なります。
(ヴァイオリン R・O)
<素敵な奇跡〜あとがきにかえて>
ビゼーが夢見たもの
シューマンが愛したもの
彼らの生み出すものにふれ、私たちは彼らの中を旅する
リズムに身をまかせ踊るように
流れの中を泳ぐように
それは時に苦しい道になる
再び、光を見ることはないのかと思わせるほどに
それでも、音楽はいつも優しく甘く私たちを誘う
ビゼーが夢見たもの
シューマンが愛したもの
一瞬だけでも、彼らの思いとかさなりあえたらいい
音楽はいつも素敵な奇跡
(ヴァイオリン A・T)