稲フィル☆つうしんVol.7  

                                            平成21年5月31日発行

「不思議な縁」

 私は、小学生のころから音楽が好きで、松田聖子・ビートルズにはじまり、クラッシック・ロック・スカ・レゲエ・

ジャズ・ボサノヴァ等、色々聴いてきました。最近気づいたのですが、時々、私のまわりには音楽をやっている

人が集まってくるのです。バンドをはじめたからライブにきてほしいとか、歌手になったとか…

 みんなのライブを見にいくたびに私もライブをやりたいな〜と思い、学生時代にやっていたオーボエをまた

はじめました。でも今度は、クラッシックじゃなく、ジャズをやろうと思い、日々稽古していたのですが、一昨年、

多摩市に引越しすることになり、家でガスの開通工事を待っていたときに、普段家では、クラッシックはきかない

のですが、その時は、たまたまR.シュトラウスのオーボエ協奏曲を聴いていて、工事にきた方が「いい曲聴いて

いるね、これR.シュトラウスのオーボエ協奏曲でしょ。私はプロのコントラバス奏者なんだ」「なに、オーボエや

っているの?オケ入っているの?ここらへんもアマオケはいっぱいあるからどこか入ったら楽しいよ。」と言われ、

オーケストラに入るということは、全く考えていなかったのですが、だいいちブランクも長いので入れないと思って

いたし…しかし、後日稲フィルに見学に行き、あっさりオケに入ることになりました。

 そうやって考えてみると、以前も私が一番好きなイギリスのロック歌手のライブを観に地方にいったときにも、

帰りの新幹線の車両がたまたま一緒でお話しできたり。

 高校生の時にも、当時NHK交響楽団の首席オーボエ奏者の方に、普段行かない楽器屋さんで、偶然にも

お会いし、「君オーボエやっているならこの楽器を買いなさい。」っていわれて購入した楽器がすごくよかった

とか。Etc…

 こんな風に音楽からいろんなハッピーをもらってきましたが、いままた、こうして稲フィルに入ってみなさんと

ご一緒できているのも何かのご縁でしょうか。

 やっぱり不思議なつながりですが、もちろんハッピーです。

                                                                                                      (Ob T.N)

「エイエイオウ」

 チェロの巨匠 パブロ カザルスは97歳で亡くなる直前まで偉大な音楽家として世界中で演奏

を行っていましたが、80歳を過ぎても演奏前の緊張についてこう言っています。


 
「冗談なんかではなく、この不安にはお手上げだ。ステージに立つたびに胸がきりきり痛み出す。

私は自問自答するんだ、どうしてこうなってしまうんだ? でも現にそうなんだ、とね。不思議な

ものだよ…私くらいの歳になってもこればかりはどうしようもないなんて」



 生涯に何千回ものコンサートで名演を披露してきたカザルスとは比べようもありませんが、ステ

ージうらで開演のベルを待つ間の緊張感は、人生でいつでも味わえるものではない貴重な体験です。

アマチュアオケは様々な生活や仕事をもった多種多様な人々が音楽を楽しんでいるのですが、それ

ぞれ日常の生活の場ではなかなか体験できないドキドキ感です。

 その緊張を力に変えようと、われらチェロ軍団はいつのころからか戦に臨む三銃士のように円陣

を組みみんなの弓をサーベルのように中心にかざし、小さな声で「エイエイオウ」と気合を入れて

ステージに向かう儀式をはじめました。

 皆さんの目に触れない舞台うらで緊張で言葉少なになり、おなかがキリキリ痛くなって行くのを

我慢しながら、不安で折れそうな心を奮い立たせようと「気合」をいれて舞台へ向かいます。

 でもその緊張に打ち勝って皆で一体となって演奏しフィナーレの音符を弾ききった時の恍惚とし

た達成感、開放感はたまらない。演奏前のドキドキも、長く苦しかった練習も(うまく弾けなかっ

たフレーズも)一瞬で忘れ去り、この気持ちを再び味わいたいがために次の演奏会の曲に挑戦しよう

という意欲がわいてくるのです。

 さあ今日もその恍惚を味わうために「エイエイオウ」と気合をいれて、いざステージへ。

                                      (Vc S.I)